もし、月の引力で潮の満ち引きが起こるなら満潮は月がある側の一回しか起こらないのではないだろうか?このページを検索した方は、そんな疑問を抱いてこのページに訪れたのではないでしょうか。
一日に満潮が二回ある理由や月と地球と太陽の関係を簡単に説明します。
満潮が二回ある理由を理解するためには、次の二つがポイントです。
- 地球の自転が海水に及ぼす遠心力(※1)
- 月の引力
※1 正確には地球と月の重心を中心とした回転が及ぼす遠心力です。地球の中心よりおおよそ4500km月側を中心とした回転運動が及ぼす遠心力ですが簡単に説明するため地球の自転としています。月は地球の衛星としては大きいので地球が月に振り回されているのです。
■第一ステップ|地球の自転
まず、月がなかったら海水はどのようになるか考えてみましょう。地球は24時間で一回転しています。その自転による遠心力の影響で海水が下記のように移動します。
横から見た図
この様に赤道付近に海水がたまります。この時、海水には上図の矢印のように力がかかっています。
■第二ステップ:月の引力の影響
次に地球の自転による遠心力を考えないで月の引力だけの場合どうなるか考えてみましょう。この場合、海水は月に引っ張られるので、月に近いところに海水が集中します。そして、月は約24時間50分で地球を一周するのでその周期で大体一日一回海水の最も高いところ(満潮)がやってきます。
■第三ステップ:地球の自転による遠心力と月の引力を重ね合わせる。
第一ステップの地球の自転による遠心力と月の引力を重ね合わせてみましょう。
月がある側では、月の引力と地球の自転による遠心力の方向が同じなので当然海水が盛り上がります。(満潮)
月の引力は、二乗に比例して小さくなるので月から離れるほど急速に小さくなります。月がない側では、月の引力より地球の自転による遠心力が大きくなります。
月側:月の引力+地球の自転による遠心力
月と地球の反対側:月の引力-地球の自転による遠心力<0
つまり、月から離れていくにつれてどこかで月の引力と地球の自転による遠心力が釣り合い(潮が止まる)、そこより遠いところでは遠心力の力が強いので反対側の赤道付近に海水が集まろうとします。そのため、月とちょうど反対側でもう一つの満潮が起こります。これが一日に二回満潮がある理由です。
■次の段階:大潮、小潮
せっかくなのでさらにもう一ステップ進んでみましょう。大潮や小潮が生じる理由について考えてみます。防波堤から魚釣りをしていると大潮の日は、なんとなく魚が釣れる気がします。また大潮の時は、海水面も満潮の時はより高く、干潮の時はより低くなります。なぜこんな現象が起こるのでしょうか。それは太陽が地球に及ぼす引力を考えるとわかります。太陽が地球に及ぼす引力は、月の大体4分の1です。図に書くと下記のようになります。
月が太陽と同じ側にいるときは、月の引力+太陽の引力で海水を引っ張る力が2割増ぐらいになります。それとは反対に月と太陽が地球を挟んで反対側にいるときは、月の引力-太陽の引力で海水を引っ張る力が2割弱、弱くなります。