稲田哲将 研究所

資源価格システム


資源価格を変化させる要因を図式化すると下記のようになる。
energypricesystem

■シェールガスとコスト
シェールガス革命と言われている。技術革新により以前に比べると非常に低いコストで生産ができるのは確かではあるが、中東の原油の生産コストに比べればまだ高い。シェールガスにより供給が増えれば、価格が下がる。それによって採算に合わないシェールガスも発生する可能性がある。需給バランスと価格、採算性など複数の視点で考えなければ正しい姿は見えない。

■レアメタル
レアメタルの輸出を中国がストップしたことでレアメタルの価格が急上昇した。それに伴ってほかの国で採算に合わなかった含有量の低い鉱山でも利益が出せるようになり生産量が増加した。さらにレアメタルを使わなくてもよい別の方法も開発されたことにより、高止まりはしているが中国のレアメタル市場での存在感は低下した。

■ガソリン
ガソリンは揮発性が高く爆発するリスクがあることから自動車のエンジンの燃料として使われるようになるまでは厄介者扱いであった。
日本では、エコカーなどの燃費向上により需要が激減している。余剰となった設備を遊ばせないためにガソリンの輸出をする可能性がある。

■原油から生成できるもの
原油は、燃料以外にもプラスチックなど様々なものに利用できる。
日本では原油をそのまま使う発電所がかつて使われていたが、多様なものに使える原油をそのまま使うのは資源の無駄遣いだという批判などによりほとんど使われなくなった。
2011年の震災以降に原子力発電所が停止した際に多くの石油発電所が再稼働した。これらの発電所はそうした理由で停止した発電所である。これらの発電所おかげでなんとか電力需要をカバーしている。

また、原油は産地によって含まれる成分が大きく異なる。今、重質油の割合がおおい原油は使い道がない成分が多く含まれているので需要があまりないが、埋蔵量は多い。つまり安く手に入れられる可能性がある。
さらにいまだに捨てられている天然ガスや水素は多い。

■使わないという資源
昨今の原油価格の上昇は、エネルギー効率の悪い国を直撃しているが、日本はそれらの国に比較すると影響が少ない。これは、資源がない日本が省エネを推進してきた結果ともいえる。配送システムの効率化、排熱の効率的な利用など燃費の向上だけでなく、より大きな仕組みの中で無駄に使用しているエネルギーを節約する方法の検討が必要になってくる。